大人のジャズ再入門

北乃きい

中山康樹の新作である。いつも言ってる「マイルスを聞け!」「ブルーノートを聞け!」っていうのを,ちょっと違う切り口で書いてみましたって感じの一冊。「マイルス!」ってのも辟易だけど,まぁ「とにかくパーカー」って言ってる後藤雅洋よりは,ずっとマトモですね。とは言うものの,なかなか読ませるのである。単なるアルバム紹介ではなくて,60年代のジャズの変化を,主にマイルスのアルバムにまつわる因縁を追うことによって,分かりやすく解説している。ちょっと横溝正史も入ってるんじゃないかという感じもしたりする。寺島靖国に最早面白味のある文章がかけなくなった今,中山だけが救いの神か。