石井輝男監督『盲獣vs一寸法師』。確かに酷い。しかし，変態だから酷いんではなくて，映画として酷い。て言うか，映画になってない。こんなもん高校生の自主制作以下だ。あの『徳川女刑罰史』の，あの『直撃地獄拳 大逆転』の，そして，あの『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』の石井輝男ともあろうものが，こんなもん作って恥ずかしくないのか。情けないったら，ありゃしない。役者の芝居はボロボロ（って出てる奴らは役者じゃないけど），ストーリーは支離滅裂，緊張感のかけらも感じられない画面（ビデオ撮影だからって理由だけじゃないはずだ），何一つ褒める要素の無い超駄作。まるで領海侵犯されてるのに威嚇射撃の一発も撃てないヘタレ防衛庁並みだ。それにひきかえ，サトエリの『キューティーハニー』の素晴らしさはどうだ。同じジャンル（バカ映画ってことね）でも，ここまで違うか。予算とかナントカの制約もあったろうが，それにしたって製作に携わる人達のテンションというものが違いすぎる（それがひしひしと感じられる）。もう石井は死んだ。いくら新作を撮っても，もう見ない。
