最後の一撃

エラリイ・クイーン『最後の一撃』は、もぉムチャクチャな話。「この探偵は、こんなふうに考える奴だから、こんな手掛かりを与えてやれば、私は容疑者から外れるぞ」ということを犯人がやるのだが、そもそも、この事件が起きるのは、エラリイが『ローマ帽子の謎』事件を解決した後くらいで、駆け出しも駆け出し、有名でもなんでもないし、探偵法が知られているわけでもない、したがって、犯人が先読みなんてできるはずもないという、設定からして破綻した代物。更に情けないことに、犯人が手掛かりに凝りすぎて、探偵は何も気づけず、おまけに犯人の大誤算まであって、容疑者がどうとかいう以前に、完全な迷宮入り。そのまま迷宮入りならよかったものが、ひょんなことから27年後に真相に気づく探偵。なんだそりゃ。警察が、もっと大人数で事件の舞台になった屋敷を見張ってりゃ、一発で解決だったのではないか。「犯人も探偵も警察もアホでした」の一言で済む話。て言うか、なんで27年も経ってから解決する話にしなきゃならなかったのか。なんで、こんな話を書いたのか、作者の意図がサッパリ分からない。

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