猿蟹合戦

金うん

◆暑いんだなぁ……脳がとろとろに,よぉぉぉぉく煮込んだビーフシチューみたい(そないええもんか)になってるのが分かるんだなぁ……クーラーつけて寝転ぶ巨大なヤマビルみたいになっています。こんなときこそジャズを!とも思うんだけど,クーラーの音がでかいもんで,純粋に楽しめないわけだ。貧乏くさいことを言うと,電気代もバカにならんしなぁ。
高野和明6時間後に君は死ぬ』を読み始める気力もなく,『面白いほどよくわかるジャズのすべて―ジャズの歴史から聴き方・楽しみ方まで』をちらりと横目で見て(絶対面白くもよくも分からないに違いないという変な確信がある),子供用の絵本をパラパラやってると,どうも変なことに気付いた。「さるかにばなし」って本なんですが,これって「猿蟹合戦」だろ。「合戦」って言葉は難しすぎるとの判断で改題か?まぁ,そりゃいいや。でも内容をあんなに変えちゃいかんだろう。
◆猿に熟してない柿をぶつけられた母蟹は,ケガはするけど死んでない。
復讐に燃える子蟹と仕事人たち(ハチとか臼とか)も,猿を懲らしめはするけど,とどめは刺さない。
最後は猿が謝って,みんな仲良くめでたしめでたし……って,
ちょっと待たんかい!
◆謝って済むんやったら警察はいらんのじゃ!あれはもっと業の深い,必殺仕置人テイストな物語のはずやないか。子ども達は,命の大切さとか,愛する人を奪われた悲しみとか,奪った奴に対する正義の怒りとか,犯人を殺しても被害者が生き返るわけではないという復讐の空しさとか,因果応報とか天網恢恢とか,そういうもんを学ぶんと違うんかい!それをこんな毒にも薬にもならんタマナシフニャチン話にしてどないするんじゃ!世の中は理不尽なものであり,それでも(て言うか,だからこそ)一定のルールの下に誠実に生きていかなきゃならんのだ,ということを教えんとどないするんじゃ!子どもの頃にトラウマになるような物語をちゃんと与えておかないと,キチガイ犯罪者に成長してしまうぞ!というわけで,出版社はすぐに原典を復活させるべし。たとえ残酷でも悲惨でも,「世の中にはそういうものがある」ことを,ありのままに伝えることが大事なのだ。