悪の芽

もし人事異動が無かったら、金曜の夕方に出た警報のせいで、私は今(土曜21時)でも職場にいて、おそらく明日の夕方か夜にしか帰宅できていないところだ。今回の大雨は、何年か前に職場に3泊4日したときほどではないにしろ、かなり酷い状況のようなので、いろいろ心配ではある。

貫井徳郎作品は、気合を入れてかからないと、テーマの重さに押しつぶされる。『悪の芽』も、例によって重いテーマを扱っていて、読者にナイフを突きつけるような作品なのだが、ラストに希望の光が見えるところに意外な感じを受けた。これまでの貫井作品なら、例えば誰かの心に悪の芽が芽吹いて終わり、みたいな感じになってたんじゃないかと思うからだ。このテーマで、そういうふうに描いてしまうと、さすがに絶望しか残らないからだろうか。しかし、毎度毎度、よくもここまで読み応えのある作品を打ち出してくるなぁと思う。若い人に読んで、考えてほしいなぁ。あ、それと、こんなにできた奥さん、いませんからね。ここだけはファンタジーだと思う。

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