暑いから読書

君の響き〜

小野俊太郎モスラの精神史』,片岡力『「仮面ライダー響鬼」の事情―ドキュメントヒーローはどう〈設定〉されたのか』読了。
◆前者。「なぜ蛾の姿なのか!あの歌の意味はなにか?ゴジラとどこが違うのか!」なんてことにこだわった論文。当時の「南洋」の捉え方など,なかなかお勉強にはなるのだが,こんなネタならとっくに別冊宝島の『怪獣学・入門!』(ちなみに私が持っているのは,セブン12話について言及のある初版本である。ついでに『ゴジラ画報』も『獣人雪男』について言及のある初版本である。ちょっと自慢でした。)がやった後なので,「何故,今更こんな本を出版?」という疑問が残る。
◆後者。このタイトルだと,例のシリーズ中途でのプロデューサー及び脚本家陣の総入れ替えについて書いた本なのかなと思ったらさにあらず。「来年の新番組」を作るに当たって,いろんな立場の人がいろんな思惑を持ってあーでもないこーでもないとやっていくのだということが書いてある。確かに非「仮面ライダー」の企画が「仮面ライダー」として練られていくドキュメントには少々興味もあるが,何故今頃出版?という疑問が残る。東映が正式な出版許諾を出さなかったらしいけれど,そんなにスキャンダルな話でもなし,「まぁこのくらいの紆余曲折はあるわな」くらい普通の人なら分かると思うのだが……。響鬼関連本として出すのに,シリーズ途中のスタッフ入れ替え事件の真相について書いてないので価値はぐっと下がっている。今のタイミングで出版するなら,それこそ大野心作にして大異色作である電王の企画についての本だろう。
◆というわけで2冊とも,それなりに面白く読めたが,インパクトに欠けるなぁというのが正直なところ。