ミステリ論

松本まりか

小森収が編んだ『ベスト・ミステリ論18』を読む。寝る前にパラパラ読むのに実によい。中身も良い。「論」と名乗るからには,すべからく読みやすくあるべし。
◆というところで思い出したが,二階堂黎人が自分のサイトで「本格評論の終焉」なるものを何回か書いていた。要は「本格ミステリではない『容疑者Xの献身』を,本格ミステリとして評価した評論家達は怪しからん」「特に探偵小説研究会に属する輩は,研究会の思想的支柱である笠井潔の探偵小説論をまったく理解していないとしか言えず,まことにもって怪しからん」とまぁ,大雑把に言えばこんな内容だったわけである。
◆私自身は『容疑者Xの献身』が本格だろうがなんだろうがドーデモいいし,探偵小説研究会なんて関係ないので,無責任極まる傍観者として笑いながら読んでたのだが,この二階堂という人は随分と頭が悪い。いや,主張していることの中には頷ける部分もあるのである。あるのだが,そういう書き方をしたら反感抱かれるだけだろうが,と思われる書き方をしているのだ。いやしくも文章書いて金貰う商売の人が,どんな文章がどんな印象を与えるかってことを理解してないんだったら痛すぎるし,分かってやってるんなら結果を考えないただのバカだ。それと,わざと難解ぶった文章を書くのもよろしくない。これは笠井潔の薫陶を受けてのことかもしれないのだけれど。