必殺! Ⅲ 裏か表か

『必殺! Ⅲ 裏か表か』は、仕事人映画の中じゃ、私が一番好きな映画。「裏稼業の話じゃない」とかいう批判もあるようだが、そんなことはドーデモイイ。いかにも必殺という映像(これは深作欣二にも出せない味)もさることながら、とにかく、柴俊夫演じる壱がカッコいい。後期シリーズ屈指の名キャラ、こんなイカス奴がいますか。秀、政、竜の揃い踏みに狂喜乱舞する女性ファンが多いようだが、壱こそ一番カッコいい奴なのである。でも、一番おいしいのは笑福亭鶴瓶の参だ。あの惨めな死にざま、仕事人冥利に尽きるというものではないか。それに比べて、組紐屋の竜の弱っちいこと。屋根の上から紐を投げる以外は全然役に立たず、接近戦の酷さを見るとトテモ抜け忍とは思えない。そんな三人の死も含む非情な展開、松坂慶子の美貌、拓ボンのイイ感じ、そしてラストは「やがて愛の日が」……素晴らしい。「人が人を殺す だが今は金が人を殺す」というテーマが突き詰められてりゃ、もっと良かったんだろうけれども。

疑問点1:秀と松坂慶子が海辺でデートするときのBGMは何だったんだろう。

疑問点2:成田三樹夫はどうなったんだろう。

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