読書してまっせ

グッジョブ!

◆というわけで一気に読了,篠田秀幸『龍神池の殺人』。いいではないですか。もうちょっと弾けてもいいし,(最近何を読んでも言ってる気がするが)もっとケレンを!って感じもするけれど,とても好感を持ちました。なにしろ「読者への挑戦状」付き!しかも2回も!探偵役が事件に絡むこととなった原因の宮崎勤の件って,結局アレだけ?って不満もあるけどね。しかし,講談社か光文社のノベルズだと思ってたら,角川春樹事務所のハルキ・ノベルズで出てるのね。映画化狙ってるのかなぁ。
◆映画化といえば,またまた『犬神家の一族』をまた見返しているのだが(当然オリジナル版の方である),いやぁ,やっぱり市川崑はいいね。あのセンスはやっぱりすごいと思う。公開当時,猛烈な反発を受けたという『東京オリンピック』を見たくなってきたな。閑話休題,今回見返して初めて疑問に思ったのだが,どうして珠世さんは,もっと早い段階で「仮面の男は佐清ではない」と主張しなかったのだろう?確証がなかったからか?懐中時計作戦が失敗に終わったからか?そもそも,懐中時計の指紋で確認しようってんなら,探偵である金田一に頼めばいいのである。佐武に頼む理由なんて何処にも無いではないか。それに,珠世が佐清が偽者である,と明言したのは,手形合わせが済んだ段階(そして佐武,佐智が殺された段階)なのだ。これは明らかにおかしい。明々白々たる物証が出て初めて,その物証と反することを積極的に主張するなんて,まるっきり逆じゃないか。そう思ってみると,この作品の中で,最も怪しい動き方をしているのは珠世なのだ。というわけで,今更ながら変な話だなぁと思っているわけである。もしリメイク版でここのところを逆手にとって,実は「偶然を巧みに筬にかけ,ひとつの筋を織り上げ」た真犯人は珠世だったのだ!というアレンジを施したなら,松嶋菜々子の意地の悪そうな顔と相俟って面白くなったかも知れない。オリジナル版を見てた人も見てなかった人も誰だって「松子が犯人」だって知ってて見たはずだから,この大どんでん返しは「市川監督健在なり!」って感じで楽しめたと思うぞ。まぁ『獄門島』のように大失敗したかもしれませんが。

やっぱり順番に読みたいね。