x001it2005-01-23

と言っても,歯茎女のことではない。麻耶雄嵩の『蛍』だ。最後の最後にビックリ。しかも悪い意味で。私ゃ誤植かと思いましたですよ。あれさえ無ければ「麻耶も心を入れ替えて一からやり直す気になったのか。キチガイが一人減るのは寂しい気もするが」なんてなことで,心安らかに本を閉じられたのに。あの(ここからネタバレにつき伏字)“真犯人と読者だけが知っている事実を他の登場人物は全員知らない”という趣向が,何のために存在しているのか全然分からない。読者が本を開いたときから知っている事実を,最終段階で登場人物が「そうだったのか!」って驚いたところで,一体何の役に立つというのか。確かに前代未聞の趣向かもしれない。しかし,それが今まで使われてこなかったのは,「作品の出来にまったく寄与しない」からであって,「そんな手を使うか?」と驚くことはあっても,「その手があったか!」なんて驚くものではない。しかし,この本を評価してる人が多いのも確かで,本格ミステリ・ベスト10では3位(身内やからな。それに『生首に聞いてみろ』が1位やし)『このミス2005年版』じゃ11位にランクイン(ここでも『生首〜』が1位やからな),文春のアンケートではミステリー大好き女優池波志乃がベスト1にしている(単に何にも分かってへんミーハーなオバハンやけどな)。ほんまにアレ読んで「面白い!」って思えたのだとしたら,そいつは頭がおかしいぞ。知り合いやから褒めるってんなら分かるけど。某氏の某著を某氏達が褒めてるのと同じように。