『風花島殺人事件』は良い

首の痛みが一向に治まらない。夜、寝ていても、寝返りひとつ満足に打てないし、幼少のみぎり、喘息の咳対策にやっていたように、座って眠ろうかとも試してみたが、歳のせいか、そんなことは出来ず、結局寝不足になっただけだった。

呼びかけられても、すぐに顔を向けられない。首を動かせないから、体全体を、まるで野々村被告のように移動させなければならない。床から起き上がるのにも何分もかかる。まず、体を俯せの恰好にして、そこから立ち上がらなきゃならないのだが、俯せになるのが難しい。痛くて痛くて、体が簡単に動かない。医者からも安静にしているように言われたので、とりあえず仕事は休み、おとなしく読書する。姿勢を変えさえしなければ、なんとかなるのだ。

というわけで、下村明『風花島殺人事件』読了。解題を読んでも、あんまり褒めてない気がするのだが、面白かったぞ。これは本格ミステリ的なものではあるが本格ではない、みたいなことが書いてあったが、だとすれば、どうも、私は本格好きから離れていっているようだ。しかし、なんでもかんでもぶちこんだ感のある論創社の論創ミステリ叢書より、戎光祥出版のミステリ珍本全集の方が当たりの確率が高い気がする。