果しなき流れの果に

小松左京『果しなき流れの果に』読了。小松左京の最高傑作だとか日本SFの金字塔だとか言われている作品なので楽しみにしていたのだが、やっぱり私にはダメだった。未来の技術やら知識やらを過去にフィードバックして、より効率的に進化を促そうという一派と、それを妨害しようとする一派とが争っているのだが、まず、これがよく分からない。妨害する一派というのは、単なるタイムパトロールではなくて、いろんな実験をして進化を管理している団体らしい。ということは、双方がやろうとしていることに、そんなに違いがない気がするのだが、どうなんだろうか。この団体、かなりえげつない連中で、過去に持ち込まれた未来の品物(今で言うオーパーツですね)を見つけちゃった人達を殺したりするわけである。もうちょっとだけ過去に戻ってオーパーツを回収しちゃうとか、もっと穏当な方法がいくらでもあるだろうに。タイムパトロールみたいなことをしているわりには、過去に介入しまくっているのである。そういう基本的な設定部分で引っかかっちゃったし、そもそも、こんなに過去をいじくってたらタイムパラドックスは起きまくりのはずなので、あんな「エピローグ」なんてものは到来しないはずではないのか? などなど、突っ込みどころ満載で、とてもじゃないが楽しんで読めやしない。こんなものが金字塔なら、SFなんぞ読む必要はないな、とさえ思わせる。