必殺仕事人 理想の最終回

 その頃,江戸の裏稼業は「闇の会」が仕切っていた。「闇の会」は,すべての仕事人を,その傘下に置き,非常な掟で裏の世界を律していた。しかし,新任の奉行が打ち出した浄化政策による「仕事人狩り」が激化し,闇の仕事師たちは息を潜めるようにしていた。
 そんなとき,中村主水は,仕事の現場を子どもに見られたが,その子どもを始末せずに見逃してしまう。そのことを知った三味線屋勇次は激昂するが,飾り職の秀は主水を庇う。「何かあったら俺がケリをつける」と主水は言うが,チーム全体が危機に陥ってしまうことを避けるため,主水は一時,姿を隠す。
 しかし,勇次の悪い予感が的中,例の子供から足がつき,とうとう主水の素性が知れてしまう。「闇の会」元締は,掟に従い,主水自身にケジメをつけさせるべく,勇次に主水を引っ張り出すよう要求する。従おうとする勇次と反発する秀。チームは空中分解してしまう。そうこうしているうちに,「婿殿が仕事人だなんて」と嘲笑っていたせんとりつが奉行所に引き立てられ,拷問を受けて死ぬ。
 何もかも失った主水は,仕置きでも仕事でもなく,復讐のために姿を現す。復讐こそが,主水のケジメだった。主水,奉行所,「闇の会」の三つ巴の激闘。この戦いに巻き込まれ,多くの仕事人,奉行所の役人たちが命を落とす。しかし,実は,奉行と元締は裏で手を結び,今回の表と裏の組織の激突を主水のチームの壊滅で決着させ,今後は「持ちつ持たれつ」でやってこうと密約を交わしていたのだった。
 そんなことも知らず,襲いくる刺客と戦う主水。しかし,ついに力尽きてしまう。「仕置きだ仕事だなんて粋がってたが,結局,俺は,夜陰に乗じて刀を振り回して,俺を認めてくれない世の中に仕返しをしたかっただけなのかも知れねぇ……つまらねぇ話だ……最期はババァとかかぁの仕返しのために死んじまうのか……」死闘の果て,主水は死ぬ。奉行所にも,闇の会にも,一矢も報いないまま。その後,勇次は元締を,秀は奉行を始末してケジメをつける。
 ひとり仕事を続ける勇次。足を洗って江戸を去る秀。中村家は廃屋と化している……。