眠りの森

ソラリスの海

◆いや,一週間分の疲れというのはえらいもんで,昨夜は夜更しどころか即爆睡,今日も一冊本を読んだだけで,後はずっと眠りに落ちていたのだった。
◆で,読んだ本というのは北山猛邦の『少年検閲官』。これは……なんなんでしょうか。雰囲気はいい。もろに『華氏451』を意識した設定,『惑星ソラリス』(リメイク版じゃないよ)を髣髴させるような,暗くて重くて雨降りっぱなしの陰鬱な感じはとても良い。書物(殊に『ミステリ』)さえなければ,犯罪の概念も何もかも知らないまま−従って治安はとてもよいとか,そのあたりは同和問題の「寝た子を起こすな」理論にもつながって興味深い。だけど,しかし,これはミステリーじゃないだろう。最近は自分で面白そうな本を探す時間もとれず,て言うか,大体出版点数が多すぎて,とてもじゃないがガイド本無しにはいられない,実に不健康な読書生活をしているのだが,この『少年検閲官』も,このミスだかなんだかに載ってたから借りたんですよ。でも,これはどっちかっつーとSFだろう。しかも,50〜60年代の共産圏で作られた暗い不条理SF(こんな雰囲気の映画,たくさん見た気がする。『ファンタスティック・プラネット』とか)。悪くは無いんだけど……少なくともミステリーを期待して読んではいけませんね。
◆あれだけ寝たのに,まだ眠いわい。