溺れる人魚

井上晴美

◆読了しました,島田荘司の新刊。といっても中短編集なのだが。泳ぐことさえできなくなった元天才水泳選手が自殺し,その「原因」を作った医師が殺害された。しかし不可解なことに,離れた場所であったにもかかわらず,同じ時間に同じ拳銃が使われたというのだ……期待させるでしょ,このシンプルな謎。でもね,なんというかミステリーとしては「おいおい」ってな出来でしかないわけです,ハイ(このオチじゃ,「あの問題」がクリアできないだろうが!)。しかし,物語作家としての語り口の上手さは衰えておりませんね。こっち方面で活路を見出すしかないのだな,この人は。次は『帝都衛星軌道』を読んでみます。