ミステリ不作

芦辺拓『異次元の館の殺人』読了。早ミス5位、このミス10位、本ミス4位というから、どんな出来だと思って読んだが、これが酷いもんだ。「これを面白いと言わずして何を面白いという」とまで書いてた評を見たことがあるが、その人はミステリを読んだことがないんじゃないか。あのトリックを成立させるために、推理を間違えるたびにパラレルワールドに飛んでしまうという設定が必要だったんだろうが、それにしたって、ねぇ。ゴテゴテと、いろんなもんを盛り込んでも、すべてが中途半端。ものすごく薄っぺらい(これは芦辺作品すべてに共通する印象だが)。あの程度の描写でシュレディンガーの猫の話がちゃんと理解できる?悠聖館の雰囲気が想像できる?霹靂Xの構造が理解できる?もっとシンプルに森江と菊園と新島でラブコメやってるだけでいいよ。