慰めの報酬


樋口有介『夢の終わりとそのつづき』読了。『ろくでなし』を大幅改稿して柚木草平シリーズに仕立て直したもの。らしい。「らしい」というのは,『ろくでなし』の内容を全く覚えていなかったうえに,いまだに思い出せないからだ。タイトルに覚えがあるので,以前に読んだことがあるはずなんだけれど,忘れてるおかげで完全新作として読めたからいいか。久々に読んだ柚木シリーズ。いつものようにいつものごとく気持ちよく読めました。ハードボイルドは痩せ我慢とハッタリが命ですが,このシリーズは少し情けなくてだらしないところが嬉しい。主役の柚木を「ゆうき」と読んでしまう(正しくは「ゆずき」)癖は直ってませんでした。
◆それにしても,この人の本が東京創元社(私の持ってる初期3作は講談社文庫)から出るのは,なんか不思議だ。創元って,洋モノばっかりで,もっと重々しいイメージだったんだけどな。日本モノ出すようになって,随分変わったもんだ。樋口もいいけど,早く乱歩文庫を再開してくれ。だって『人間豹』なんか出しといて『白髪鬼』や『闇に蠢く』を出さないなんて変でしょうよ。
◆『慰めの報酬』でダニエル・クレイグがかけてたサングラス(トムフォード TF108 James Bond 007)を入手したんですよ,オークションで。定価より1万円ほど安かった。でも,家内は「寄り目のパンダ」って言うんです……orz