虹村形兆

役所には地下倉庫というものがあるのだが、エレベータがなくて荷物の搬入がしづらいし、異様に空気が澱んでいて30分以上いると確実に喉がやられるし、湿気がきつすぎて書類やなんかはすぐカビるし、いいことなしの場所なのだが、そこに入り浸っていた一日だった。

役所には事なかれ主義で、とにかく自分の在籍中は何事も変化させたくなくて、あらゆることを先送りするというクズ野郎がたくさんいるが、そういうアホどものせいで、長年手つかずになっていた倉庫整理をやってたんである。10年以上前に廃棄しておくべき書類がてんこ盛り。「何かの時のために」とか言いながら、何かの時がどんな時なのかを考えもせず、て言うか何も考えず、とにかく倉庫に放り込んでおこう、そのうち誰かが何とかしてくれるだろうという魂胆がミエミエの透けすけで、ちょっと想像を絶する酷さ。

毎年一回、きちんと整理しておけば、こんなことにはならないのである。「お前は一枚のCDを聞き終わったら キチッとケースにしまってから次のCDを聞くだろう? 誰だってそーする。俺もそーする」 ということなのである。