【ブログ】ルドンとその周辺〜夢見る世紀末展〜

これでもゲージツを志したことのある私は,ごくたまに絵画展等に出かけることがある。「ごくたまに」というのは,なかなか私好みの絵がないからだ。もっとも,成田亨だの岡本太郎だの宇野亜喜良だの多賀新だの竹中英太郎だのクリムトだのガウディだのロートレックだのキース・へリングだの北斎だのと,変なのばっかり味わう私の好みに適うものなんて,開催したところで採算が取れないのだろうけれど。
それはさておき,今回は,JR京都伊勢丹7Fの美術館「えき」KYOTOの「ルドンとその周辺〜夢見る世紀末展〜」に行ってきた。たまたま見かけたポスターの,けったいな絵(「蜘蛛」)に惹かれたのである。美術史とかなんとか難しいことは分からないけれど,オディロン・ルドン(1840-1916)という人はフランスの画家で,「外界の記録を旨とする自然主義全盛の時代に,あえて夢や幻想などの世界に踏み込んだ」のだそうだ。油絵なんて,何が美しいのか全然理解できない(べたべたと大雑把な塗りで,花だのりんごだのを描いて,何が面白いのかね)私には,二番目の石版画集『エドガー・ポーに』あたりが一番好みに合う。やっぱり小さくて,白黒で,細密なエッチングは素晴らしい。ルドン以外の象徴主義関連作家(ムンクとかね)の作品も展示されており,中でもルドンの師匠であるロドルフ・ブレダンや,連作「手袋」のマックス・クリンガーが印象に残った。
それにしても,いまどき800円で,あんな時間と空間を味わえるのだから,贅沢なものだ。そんなに混んでなかったし,鬱陶しい客もババァ一人しかいなかった(大声でしゃべる,携帯を持ち出す,酷い客だった。出て行くまで,ベンチで待った)ので,久しぶりに気持ちよく,ゆったりできた。11月13日(日)までやってるので,是非お出かけください。
http://kyoto.wjr-isetan.co.jp/floorevent/index_7f.html