此の世の果ての殺人

いやぁ、今日は寒かった。実に寒かった。車の点検以外に特に用はない一日だったが、部屋で読書するのもつらい寒さ。たまったもんじゃないわ。

今年の乱歩賞、早ミスで12位、このミスで11位、文春で5位の荒木あかね『此の世の果ての殺人』、すいすいと読みはしたが、犯人側の設定に魅力が無さすぎるのではないか。もうすぐ小惑星が地球に激突して、どうせみんな死んじまうのに、なぜ、今、殺人を? という謎については、殺したって生き返っちゃうのに、なぜ殺人を? という謎を提出して、見事な解決を描いた『生ける屍の死』を思い出してしまうが、あれとは雲泥の差のつまらなさ。更に、どうせ誰もまともに捜査なんかしやしないのに、なぜ死体を隠す? という謎についても、こんなもんでいいのかという、しょーもない解決。どん詰まりの世界でも、何とか自分なりに精一杯生きていこうとする登場人物に泣かされる部分もないではないが、それはミステリとは別の話。