御前通仁和寺街道を少し下がったところに、「おやじ」という飲み屋があって、いつも賑わっている。理由は簡単、安くて量が多いからである。特にだし巻き卵と焼きおにぎりにはビックリする。大将のでっかい手でもつかみきれない焼きおにぎりなんて、絶対火が通らないぞ、と思うほどのもので、飲んだ後にあれを食える胃袋ってなんなんだろうと思う。この大将がまた、ワイルドかつアバウトな目分量の極みで、カルピスチューハイなんて、出てくるたびに味が違う。家内はビールを飲みたくなると、ここへ行こうと誘ってきて、今日も掃除で疲れて汗をかいたから生ビールを飲みたいと言うので、晩飯を食いに行った。ところが、歳のせいか、最近あんまり飲めなくなった私は、中ジョッキ２杯がやっとで、しかも慌ただしい店でゆっくり食うなんてことはできず（そもそも、そんなに品数があるわけでもないのだ）、行くことで疲れてしまったのである。こんなことなら、一人で、どこかラーメン屋にでも行く方が気楽なのだが、そういうわけにもいかず、休日の晩飯でまで疲れる人生ってなんなんだろうと、深くため息をつくのであった。
