ミステリは古典に限る

なんやかんや言うて,やっぱり古典よなぁというわけで,鮎川哲也の長編を立て続けに読んだ。『ペトロフ事件』,『憎悪の化石』,『偽りの墳墓』,『死のある風景』,『鍵孔のない扉』,『王を探せ』の6作で,既読の『黒いトランク』,『りら荘事件』,『黒い白鳥』,『人それを情死と呼ぶ』,『朱の絶筆』と合わせると,全長編のちょうど半分。歳を取ったせいか,以前ほどアリバイ崩しモノへの忌避感もなくなっていて,それなりに楽しめたけれど,更に読み進もうとは思えなかった。まぁ,短編は読むんですけどね。
というわけで,ディクスン・カーである。我が偏愛するエラリー・クイーンと並び称される巨匠でありながら,密室の人だという偏見から,これまであんまり読んでいなかったのだ。それでも『火刑法廷』,『皇帝のかぎ煙草入れ』,『三つの棺』,『ユダの窓』,『帽子収集狂事件』,『爬虫類館の殺人』,『連続殺人事件』,『読者よ欺かるるなかれ』,『魔女が笑う夜』と有名どころは押さえてあったものの(『プレーグ・コートの殺人』や『白い僧院の殺人』は読んだかどうか定かでない),読んだのは随分昔だし,ここはひとつ未読のものを読んでみて,カーへのアレルギーが取れているかどうか試してみようということで,『曲った蝶番』と『貴婦人として死す』を続けて読んだら,これが随分面白いではないか!これは読まなきゃ大損だ!続けて『死者はよみがえる』,『緑のカプセルの謎』,『囁く影』,『黒死荘の殺人』,『赤後家の殺人』を読むぞ!と張り切っているのだが,こいつらが軒並み絶版なのが悲しい。とりあえず図書館で借りて,面白くて手元に置く価値ありと判断したら古本を探そうと思っているのだけれど,古本も高いのよ。クイーンといいカーといい絶版が多いのは何故だ。クリスティなんかバンバン売ってるのに。
ちなみに,私はクリスティがあんまり好きではない。何故だかはよく分からないのだけれど,どうも肌に合わないのだ。『スタイルズ荘の怪事件』も『アクロイド殺し』も『オリエント急行の殺人』も『ABC殺人事件』も『そして誰もいなくなった』も『ゼロ時間へ』も『ホロー荘の殺人』も『カーテン』も読んだんですよ(はっきり覚えてないけど,他にも読んだ本はあるはず)。ミステリ〜ナ〜イル♪も歌えるし。まぁ,好みってものはどうしようもないんやけど。