007スカイフォールは駄作!

どうも世間で高評価なのが解せぬのである。米映画批評サイトによるランキング(http://eiga.com/news/20130101/6/)では5位につけているし,さっきやっと見つけて立ち読みしたハヤカワミステリマガジンじゃ,提灯にも程がある驚きの1位である。私にしてみれば,『スカイフォール』などボンド映画史に汚点として残るであろうことは必定というほどのものなのだが,どうなのだろうか。
まず敵役の設定が『ゴールデンアイ』の006と同じなのに,明らかにスケールダウンしている。後半の展開は「ありえない」としか言えないもので,爽快さなど微塵も感じられない。挙句の果ては,過去のフォーマットへの回帰である。
思うにダニエル・ボンドの魅力は,『カジノ・ロワイヤル』冒頭のトイレでの虐殺シーン等でスタイリッシュとかいうものとは無縁のバイオレンスなところ,シェイクしようがステアしようがどーでもいいとかいうところで,「こんな金髪碧眼のテロリストみたいな奴ボンドじゃない!」と言われた容姿を見事に生かし,それでも最後に「Bond, James Bond」と言わせて「お,こいつもアリか」と見事にリブートしたところにあったはずだ。スマートさの欠片もない野蛮なボンド。これこそがダニエル・ボンドの魅力だったはずだ。
にもかかわらず,この体たらく。青いボンドが3作目にしてロートル扱い。なのに次作ではダニエル・クレイグが,帽子を帽子掛けにひょいっと投げるのか?マネーペニーといちゃいちゃ軽口を交わすのか?似合わない。まったく似合わない。しかし,今回のラストは,そういう方向にボンド映画を戻すという意思の表れとしか見えない。要するにクレイグ路線の敗北宣言にほかならないわけで,こうなったら,ダニエル・クレイグはお払い箱にする以外ないのに,まだ2作に主演するという。『慰めの報酬』の後なのだから,素直に敵組織クォンタムとの死闘を描けばよかったではないか。任務のためとか言いながら,実は怨み骨髄,私情挟みまくりで突っ走るダニエル・ボンドでいいではないか。て言うか,ダニエル・ボンドなら,そうでなくてはならぬのに,何故クォンタムのクの字も出さずに,こういう展開に持っていったのか理解に苦しむ。今後のシリーズは,出来の悪いパロディにしかならないのだろうな。残念無念である。

ちなみに,私の順位付けは以下のとおり。

25位:ダイヤモンドは永遠に(デブのコネリー,ブス馬鹿のボンド・ガールとマイナスしかなし)
24位:黄金銃を持つ男(ほとんど何も取り柄なし)
22位:死ぬのは奴らだジェーン・シーモア以外取り柄なし)
22位:カジノ・ロワイヤル(67)(バート・バカラック以外取り柄なし)
19位:スカイフォール(いくら画面がきれいでも)
19位:ワールド・イズ・ノット・イナフ(あのソフィー・マルソーの,あの設定と最後)
19位:ゴールデンアイバンジージャンプ等のアクションはさすがの若返り)
18位:ドクター・ノオ(まぁ第1作なので……)
15位:美しき獲物たちクリストファー・ウォーケンはいいけどグレイス・ジョーンズは勘弁して)
15位:オクトパシー(アクロスターはいいけどモード・アダムスは勘弁して)
15位:ムーンレイカー(宇宙ステーションでの戦闘シーンにセンスが無さ過ぎ)
12位:ダイ・アナザー・デイ(ボンドカーの光学迷彩はさすがにやり過ぎ)
12位:消されたライセンス(2作目にしてティモシー禿げ過ぎ)
12位:サンダーボール作戦(意外に地味)
9位:慰めの報酬(敵組織がもっと強大なら良かったのに)
9位:ネバーセイ・ネバーアゲイン(スタントがバレバレでも開き直っているのが良い)
9位:ユア・アイズ・オンリー(スタントがバレバレでも(以下略))
8位:カジノ・ロワイヤル(06)(リブートとしては屈指の出来)
7位:女王陛下の007ピーター・ハントのアクション演出とルイ・アームストロングの歌で高評価)
6位:ゴールドフィンガー(唯一にして最大の瑕瑾はボンド・ガールが不細工おばさんなこと)
5位:ロシアより愛をこめて(何はなくともダニエラ・ビアンキ
4位:トゥモロー・ネバー・ダイ(何はなくともミシェール・キング
3位:リビング・デイライツ(アクションでラブコメで適度にハードで素晴らしい)
2位:私を愛したスパイ(007のパブリック・イメージってこれだと思う。見事の一語)
1位:007は二度死ぬ(日本人なら迷わずこれ。浜美枝じゃなければ驚異の大傑作なのに)