【映画感想】フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGAMAX

突如,宇宙から隕石群が飛来。これによって時空に歪みが発生し,未来から悪の仮面ライダーが出現,オーズ達と戦いを繰り広げる。一方,天ノ川学園高校では,上空から謎の美少女が降ってくるという椿事が発生。しかも,何故か彼女を狙うホロスコープス達に対し,仮面ライダーなでしこに変身してフォーゼと共闘する。その頃,財団Xは,隕石に付着していた宇宙生命の種・SOLUを入手すべく暗躍。この動きを察知する7人ライダーとWだったが……。
というわけで,現役ライダーと先代ライダー競演の『MOVIE大戦シリーズ』第3弾なのですが,前2作とは桁違いの面白さ。第1弾『W&ディケイド MOVIE大戦2010』は,吉川晃司初登場の『W ビギンズナイト』はともかく,『ディケイド完結編』はサッパリ意味が分からず,面白くもなんともなかった。これは,そもそもディケイドがテレビのときから意味不明だったからかなぁと思っていたら,第2弾『オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE』は,『スカル メッセージforダブル』だけなら世紀の快作となったものを,『オーズ ノブナガの欲望』なんぞというクソのせいでミソをつけたという有様で,脚本に好評のメインライター小林靖子じゃなく,何をトチ狂って井上敏樹などというクソを起用したのか,スタッフの意図を測りかねる代物だった。大駄作『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(これに関しては褒めるところがひとつもない。まったくない。無かったことにしてほしい)も含め,所詮お祭り映画だから,ライダー競演だけで満足しろってことかしらなどと項垂れていた心あるファンに素晴らしい作品を届けてくれた坂本浩一監督は偉い!
初監督作品『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』は,内山まもる的世界としては良かったし,確かに面白くは見たけれど,「光の巨人」としてのウルトラマンを全否定(続編『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』の方が,まだ神々しさを醸し出していた),しかもアクション以外に見るべきところはあまりなく,ゼロのデザインがカッコ悪いとかセブンの息子てなんやねんとか小泉元首相てどういうことやねんとかメビウスで綺麗に環を閉じたのにこうまでして延命せにゃならんのかとか,監督以外の責任の部分も含めて頭を抱えたのだけれど,『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』という歴史に残る大傑作を放った坂本監督だから,一定の期待はしていたし,CMで2号のマスクが黒く塗り直されているのを見たときに「おっ!」とは感じたものの(それにしちゃ体側部のラインは消してねぇじゃねぇかと突っ込むオタクな私),正直ここまでとは思わなかった。お祭り映画としての華やかさ(映画限定ライダーが3人,Wと7人ライダーがゲスト,そして出てくる女性陣がみんな可愛い!)だけではなく,スッキリと分かりやすく無理のないストーリー展開,ゲスト出演のWが単なる顔出しではなくキッチリとドラマに組み込まれている点,W,オーズの後日談として完璧に成立している点が素晴らしい。勇気,希望,友情を,自然な形で,しかも感動的に謳いあげている点もまた素晴らしい。もちろんアクションも大迫力で,特に主題歌に乗ってのバトルシーンはノリノリ,うちの息子も身を乗り出して食い入って見てました(一緒に大声で歌を歌うのは制止しましたが)。
もちろん残念だった点もある。せっかくだから昭和ライダーはオリジナル俳優に声を当ててほしかったし(V3の声が軽すぎて聞いちゃおれんのよ……あの『オールライダー』に出た3人だけでも,なんとかならんかったのか),W,オーズ,フォーゼのフォームチェンジをやったんだから,ストロンガーもチャージアップさせてとか,まぁ,そんなのはマニアのないものねだりだけれど,ワイヤーの多用には少々辟易した。特に昭和ライダーの必殺技を再現!と意気込んだ部分はことごとく失敗しており,V3反転キックやXキックは最低最悪だ。オリジナルにあった迫力,勢い,技のキレといったものを全部殺してしまっている。ワイヤー頼りは坂本監督の悪い癖だと思うので,今後は新しい技術にこだわらず,「最も効果的な表現は何か」を冷静に判断してもらいたい。
しかし,一番残念だったのは,上映時間の短さ!もっともっと見たい!そう思わせる傑作でした。まだ見てない人は劇場へ急げ!私は,既にディレクターズカット版DVDの発売を心待ちにしています。