音楽のある風景

石原さとみ

◆見ましたよ『パズル』。石原さとみがどうこうって以前に,そんなに『トリック』をやりたいのか,と少々うんざり。学校の先生役ってのは,ついでに『ごくせん』も掠めようって腹か。なんかさぁ,もうちょっと捻りようがあるだろう。『キミ犯人じゃないよね?』も志の低さという点では大差ないけれど,なんだかデカイ謎が横たわってるっぽいことも言ってたし,「次回も見よう」と思わせるものがあるぞ。『パズル』はゴールデン枠なのに何の捻りも見出せないし,1回見ときゃいいや的な臭いがぷんぷんするぜ。石原さとみは,これで終わったな。あ,仮面ライダーサソードも出てたな。出てただけって感じだがな。
KBS京都が,19時から1時間,『音楽のある風景』という番組を放送している。「心に残る名曲たち…聞けばよみがえるあの頃の風景とともに…様々なジャンルの名曲を,その曲が誕生した時代の風景や美しい自然の風景にのせて紹介します。」というわけで,やれ「なごり雪」だの「22歳の別れ」だの,60〜70年代のフォーク,ニューミュージックを1コーラスずつ流し,画面には当時の街の姿や風俗が白黒画面で映っている。歌ってる歌手の姿を映さないのが,これまたいい(そりゃ当時にはプロモーションビデオなんて無いってのも理由のひとつか)。実になんとも,ある一定の年代の人には懐かしく心安らぐ番組である。かく言う私もその一人。私は69年生まれなので,リアルタイムで聞いていたってわけではないけれど,この時代の歌には,美しいメロディーがあった。そして歌詞には,多くの人が共感できた。普遍性があったのだ。それに引き換え,今の歌はどうだ。ヒップホップだかラップだか知らんが,10〜20年残っていく歌だとは到底思えない。戦隊のエンディングまでラップになっちまった。まぁ,異世代間での感情の共有(とまで行かなくても,一定の想像力とかね)なんてものが完全に死滅してるからやむを得ないのかも知れないけれど。
◆で,この『音楽のある風景』,実はユニバーサルミュージックK.K.が製作する通販CDのテレビショッピング番組なのである。CD6枚組,税込価格\13,800。1時間のCMだぞ。音楽をそれが流行した時代の風景とともに描くことに主眼を置いており,古い音楽カタログをそのタイトル名というテキスト・データではなく,耳と視覚に訴えて視聴する人の郷愁感を誘引して販売するという新しい手法を開発した……らしい。いろいろ考えるもんだなぁ。で,これが下手なドラマやバラエティーより質が高いと思ってしまう俺は,もうかなりのオッサンってことか。